外堀知的財産事務所 メールマガジン 2024年6月号

外堀知的財産事務所メールマガジンを発行しましたので、ブログへ転記いたします。

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◇◆◇ 外堀知的財産事務所 メールマガジン ◇◆◇

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このメルマガは当事務所とお取引きいただいている皆様、または当事務所とご面識のある皆様にお届けしています。

知的財産に関する基礎知識や最新の法改正情報など、実務上お役に立つと思われる情報をピックアップして、送らせて頂きます。

メルマガ配信をご希望でない場合は、誠に恐縮ですが、下記アドレスまでお知らせください。

mail@sotobori-ip.com

 

━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━━

2024年6月号

 

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┃ ◎本号のコンテンツ◎

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┃ ☆知財講座☆

┃(5)特許出願の依頼のポイント

┃ ☆ニューストピックス☆

┃ ■AIを発明者とした出願を認めず(東京地裁)

┃ ■全固体電池分野、日本が強み(特許出願技術動向調査)

┃ ■音楽著作権料の徴収額が過去最高(JASRAC)

┃ ■「知財・無形資産の投資・活用ガイドブック」発行(特許庁)

┃ ■2023年度知的財産権制度説明会(実務者向け)を動画配信

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特許庁は知財・無形資産の投資・活用、および適切な情報開示に向けて取り組むべき事項をまとめたガイドブック「知財経営への招待~知財・無形資産の投資・活用ガイドブック~」を公開しました。

このガイドブックは、知財・無形資産の投資・活用などについて、企業が抱える等身大の悩みや課題に対する実践的な取組方法を紹介しています。

 

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃

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(5)特許出願の依頼のポイント

 

【質問

社内でまとめたアイディアについて特許事務所(弁理士)に特許出願を依頼に行きたいのですが、アイディアを説明するためにどのようなものを準備すればよいでしょうか?

 

【回答】

特許事務所の弁理士が特許出願の依頼を受けるにあたり発明者、特許出願人となる方から説明していただきたい事項を紹介します。

 

■特許出願で特許庁へ提出する書面■

特許出願では特許権の付与を求める発明を文章(必要であれば文章と図面と)で説明して特許庁へ提出します。弁理士は、「明細書」、「特許請求の範囲」、必用な場合の「図面」を準備します。このための手掛かりとなり、特許出願人の代理人となる弁理士が発明内容を正確に把握・理解することに役立つ事項として、最初にこのような事項をご説明をいただけるとありがたい、というところを以下に紹介します。

 

■どのような技術分野・技術に関するものか■

開発された発明、アイディアがどのような技術分野のものであるか、例えば、金属加工技術、食品製造技術、等。発明内容を把握する上での第一歩になります。「明細書」で「技術分野」の欄に記載する事項になります。

 

■これまではどのようにしていたのか■

開発された発明、アイディアの技術分野では従来はどのように行っていたのか。「明細書」で「背景技術」の欄に記載する事項になります。特許出願を行う際「背景技術の欄」に、特許出願人が知っている先行技術文献情報を記載する必要があります。開発された発明、アイディアに関連する従来の特許出願の内容が公表されている特許出願公開公報の番号を記載するのが一般的です。

ご自分で特許庁のJ-Plat Patを利用して特許調査を行い、先行している特許出願公開公報の番号をご存知でしたら弁理士にお知らせください。

なお、特許出願の準備を進めるにあたって、弁理士は、「背景技術の欄」に記載する先行している特許出願公開公報を検索する調査をある程度のレベルで行うのが一般的です。この際に発見できた先行している特許出願公開公報を弁理士から提供を受けることで、開発した発明、アイディアにおける新規な部分をより明確に説明できるようになることもあります。

 

■どのようなことを解決・改善しようとするのか■

これまでどのようなところに不具合を感じていたのか、どのようなところに困っていたのか。従来になかった新しいニーズに対応できる発明、アイディアを開発した場合、どのような新たなニーズに対応しようとしているのか。「明細書」で「発明が解決しようとしている課題」の欄に記載する事項になります。

 

■解決・改善のために採用した工夫■

どのような工夫を採用したことで上述した不具合、困っていた問題点を解決できたのか。あるいは、どのような工夫を採用したことで上述した新たなニーズに対応できるようになったのか。「明細書」で「課題を解決するための手段」の欄に記載する事項になります。また、特許請求する発明として「特許請求の範囲」に記載する事項になります。

 

■今回の工夫を採用したことでどのようになったか■

上述した不具合、困っていた問題点を解決でき、上述した新たなニーズに対応できるようになったということです。これらのみにとどまらず、開発した発明、アイディアによって実現できるようになった利点は何か。「明細書」で「発明の効果」の欄に記載する事項になります。

 

■開発した発明、アイディアの具体例■

開発した発明、アイディアを実際に行っている実例、例えば、機械・構造物の図面や写真・現物、実際に製品を製造したときのデータや試験・実験結果、従来のものと比較・検討した試験・実験結果データ、発明、アイディアが実際に行われるときの簡単なフローチャート、等。

「明細書」で「発明を実施するための形態」、「実施例」の欄に記載する事項になります。

 

■面談の形式、等■

特許事務所においでいただいて説明を受ける、あるいは、開発現場である工場などに弁理士が訪問させていただいて説明を受ける、等の形式があります。いずれにしても、開発された発明、アイディアを弁理士が正確に把握・理解する目的で、上述したような事項をご説明いただけると助かりますが、これらは、最初の段階から完全に準備していただく必要はありません。箇条書きのようなメモのようなものでご説明いただいてもよいです。

また、図面などをご持参いただいて口頭で説明していただく、等、弁理士がヒアリングする中で質問し、ご説明をいただくことで発明の内容を把握する形式にすることもできます。

 

 

■ニューストピックス■

 

  • AIを発明者とした出願を認めず(東京地裁)

 

人工知能(AI)を発明者とする新技術が特許として認められるかどうかが争点となった訴訟で、東京地裁は、「発明者は人間に限られる」として、米国籍の出願者の請求を棄却する判決を言い渡しました。

一方で、現行法の制定時にAIの発達が想定されていなかったとして、国民的議論で新たな制度設計をすることが相当だと言及しました。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/981/092981_hanrei.pdf

 

出願者はAIが自律的に発明した装置について、発明者の氏名を「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載して2020年に特許出願。特許庁は、「発明者は人間に限られる」として、自然人の氏名を記載するよう補正を命じましたが、補正に応じなかったため、出願を却下しました。原告はこの処分の取り消しを求めて訴えを起こしていました。

地裁判決では「発明は人間の創造的活動により生み出されるものと定義される」と指摘、「特許庁の出願の却下処分は適法であり、AIを発明者とする出願は現行法上認められない」としました。

一方、現行法の解釈では「AIがもたらす社会経済構造の変化を踏まえた的確な結論を導き得ない」と指摘したうえで、「立法論として検討を行い、できるだけ速やかに結論を得ることが期待されている」として、国会での議論を促しました。

 

  • 全固体電池分野、日本が強み(令和5年度特許出願技術動向調査)

 

特許庁は、令和5年度分野別特許出願技術動向調査の結果を発表しました。同調査は、今後、市場創出・拡大が見込まれる最先端の技術テーマを毎年選定しているもので、今回は「全固体電池」「量子計算機関連技術」「パッシブZEH・ZEB」「ドローン」「ヘルスケアインフォマティクス」の技術動向について調査しました。

https://www.jpo.go.jp/resources/report/gidou-houkoku/tokkyo/2023theme.html

 

このうち、全固体電池についてみると、2013年から2021年までの国際展開発明件数(複数の国・地域へ出願された発明、欧州特許庁へ出願された発明又は特許協力条約に基づく国際出願(PCT出願)された発明数の比率)は、日本国籍が48.6%で首位となっており、次いで韓国籍が17.6%、米国籍が12.9%、欧州籍が11.9%、中国籍が5.8%、台湾籍が1.2%と続いていることがわかりました。

また、出願人別の国際展開発明件数ランキングでは、1位のパナソニック、2位のトヨタ自動車をはじめ、上位20者中14者が日本国籍出願人であり、全体として日本が強みを有していることが分かりました。

技術区分別にみると、「固体電解質材料の主な材料」における「硫化物系」の出願件数は、日本からの出願が最も多く、日本に優位性があるといえます。この技術区分は近年、中国をはじめとする各国・地域の出願が増加しています。全固体電池における日本の優位性を保つためには、全固体電池の主力用途であるEV向けの「硫化物系」について今後も持続的な研究開発が必要であると考えられると報告されています。

 

  • 音楽著作権料の徴収額が過去最高(JASRAC)

 

作詞・作曲家に代わって音楽著作権料を徴収する日本音楽著作権協会(JASRAC)は、2023年度の音楽使用料の徴収額と分配額がいずれも過去最高になったと発表しました。徴収額は約1371億6729万円(前年度比106.3%)、分配額は約1351億2644万円(前年度比107.5%)でした。

https://www.jasrac.or.jp/aboutus/public/pdf/press-2024.pdf

 

徴収額は2022年度から約81億4000万円増加。「インタラクティブ配信」(音楽のサブスクリプションなど)が約487億円(前年度比9.1%増)、演奏等(ライブ・コンサートなど)が約237億円(前年度比13.8%増)と好調でした。

音楽の違法利用に対する法的措置をみると、刑事1件(告訴1件)、民事1310件(仮処分3件、民事調停1282件、支払督促13件、その他12件)で、2022年度よりも計58件増加しました。

 

  • 「知財経営への招待~知財・無形資産の投資・活用ガイドブック」を公開(特許庁)

 

特許庁は、知財・無形資産の投資・活用及びその情報開示について、企業が抱える等身大の悩みや課題に対する実践的な取組方法をまとめた「知財経営への招待~知財・無形資産の投資・活用ガイドブック~」を公開しました。

https://www.jpo.go.jp/support/example/chizai-mukei-toushi-katsuyou-guide/

 

知財・無形資産の投資・活用を実践するにあたっては、自社の強みについて社内メンバー間で共通認識化することが必要不可欠ですが、そもそも自社の強みを把握できていないか、把握できていたとしても認識が異なる点がボトルネックになっているケースがあります。

ガイドブックでは、このようなボトルネックを解消し、知財・無形資産の投資・活用を推進するためのポイント、それを機能させるための知財部門の役割及び知財・無形資産の投資・活用に係る情報開示の重要性や方法論について、具体的な事例とともに紹介しています。

ガイドブックでは、知財・無形資産の投資・活用における課題を解決し、機能させるためのポイントとして、「知財・無形資産の投資・活用3ステップ」(①強みの掘り下げ・把握、②将来像と強みのひも付け、③知財・無形資産の投資・活用戦略の検討・実践)を提示しています。

また、知財・無形資産の投資・活用を推進するにあたって、自社の現状を把握するためのチェックリストなども掲載しています。

 

  • 2023年度知的財産権制度説明会(実務者向け)を動画配信

 

特許庁は、知的財産権の業務に携わっている実務者の方を対象に、「2023年度知的財産権制度説明会(実務者向け)」を動画配信します。

https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/mail/u/l?p=FXR5sWwBvE9UVFVQY

 

説明会では、特許・意匠・商標の審査基準やその運用、審判制度の運用、国際出願の手続等、専門性の高い内容について、講義をeラーニングでわかりやすく解説します。

独立行政法人工業所有権情報・研修館「INPIT」の知的財産e-ラーニングサイト「IP ePlat」にて、動画を視聴できます。(動画視聴する際には「ポップアップブロックの解除」が必要です)

 

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発行元: 外堀知的財産事務所

弁理士 前田 健一

〒102-0085 東京都千代田区六番町15番地2

鳳翔ビル3階

TEL:03-6265-6044

E-mailmail@sotobori-ip.com

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