■商標としての一般的、普遍的な適格性が必要

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商標法は登録できない商標の例を限定列挙しています。自他商品・自他役務の識別力あるいは出所表示機能をという商標の本質的機能がない商標は登録にすることは適当ではない点で拒絶理由となっているもの、具体的には商標法第3条第1項各号部分について解説します。(以下、商品役務の例示は特許庁商標審査基準抜粋)

 

  • 商品又は役務の普通名称(第3条第1項第1号)

商品・役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示される標章のみからなる商標は登録を受けられません。
商品「りんご」に商標「りんご」では他人の商品との識別力がないからです。

・一般的な名称
商品「サニーレタス」について、商標「サニーレタス」
商品「さんぴん茶」について、商標「さんぴん茶」
商品「電子計算機」について、商標「コンピュータ」
役務「美容」について、商標「美容」

これは、一般的な名称だけでなく、略称や俗称も同様です。

・略称
商品「スマートフォン」について、商標「スマホ」
商品「アルミニウム」について、商標「アルミ」
商品「パーソナルコンピュータ」について、商標「パソコン」
役務「損害保険の引受け」について、商標「損保」
役務「航空機による輸送」について、商標「空輸」

・俗称
商品「塩」について、商標「波の花」

なお、普通に用いられる方法で表示される場合のみが登録されない要件です。
特殊なレタリングを施して表示する場合などは、登録になる可能性があります。

とはいえ、普通名称をローマ字や仮名文字に変えて表示することは、普通に用いられる方法の範囲内とされますので、登録することができない商標に該当します。

 

  • 慣用商標(同2号)

普通名称ではないが、同業者の間で一般的に使用されていた結果、自己の商品役務と他人の商品役務とを識別することができなくなった商標も、出所表示機能がないので登録にはなりません。

・文字や図形等からなる商標
商品「自動車の部品、付属品」について、商標「純正」、「純正部品」
商品「清酒」について、商標「正宗」
商品「カステラ」について、商標「オランダ船の図形」
商品「あられ」について、商標「かきやま」
役務「宿泊施設の提供」について、商標「観光ホテル」

・色彩のみからなる商標
役務「婚礼の執行」について、商標「赤色及び白色の組合せの色彩」
役務「葬儀の執行」について、商標「黒色及び白色の組合せの色彩」

・音商標
商品「焼き芋」について、商標「石焼き芋の売り声」
役務「屋台における中華そばの提供」について、商標「夜鳴きそばのチャルメラの音」

 

  • 商品の産地、販売地、品質その他の特徴等の表示又は役務の提供の場所、質、その他の特徴等の表示(同3号)

商品「りんご」に商標「青森」、商品「りんご」に商標「うまい」などは登録できません。
このような商標を一個人の独占使用に認めるわけにはいかず、また、他人の商標と区別される識別力もないからです。

・特徴等の表示例
商品について、商標「一級」、「一番」、「スーパー」、「よくきく」
役務「飲食物の提供」について、商標「実演」

品質・質については「うまい」を「うまーい」や「早い」を「早ーい」など、長音符号を用いただけの場合も特徴等を表示するのと同様と判断され、登録できません。

商品の「産地」、「販売地」、役務の「提供の場所」については、国内外の地理的名称(国家、都道府県、州、旧地域、繁華街、観光地、山岳、河川公園等)で指定商品が生産されたり販売されたり、指定役務が提供されるであろうと一般的に認識されるときは、その商標は登録できません。

 

  • ありふれた氏または名称(同4号)

同種の氏や名称が多数存在するのに、一個人の登録を認めるわけにはいきません。「伊藤」、「斎藤」、「田中」、「山田」、「鈴木」等が該当すると言われます。
ただし、ありふれた氏又は名称が対象なので、氏名がありふれていなければこの要件からは外れます。

ありふれた氏に業種名等が加えられていても、原則として、ありふれた名称に該当します。「○○工業」、「○○製菓」、「○○運輸」等で○○がありふれた氏等の場合です。

また、商号、屋号に慣用的に付される文字等が加えられていても、原則として、ありふれた名称に該当するとされます。「○○商店」、「○○屋」、「○○株式会社」等がその例です。

 

  • 極めて簡単で、かつ、ありふれた商標(同5号)

単なる直線や円、または球や直方体のみからなる商標を登録するわけにはいきません。
また、数字やローマ字1字又は2字、仮名文字1字のみからなる商標も登録にはなりません。

 

  • 前号までのほか、識別力のないもの(同6号)

1号から5号に該当しないものであっても、一般に使用される得る標章であって、識別力がない場合も登録にはなりません。
例えば、商慣習上数量を表示する場合に一般的に用いられる表記(「メートル」、「グラム」、「Net」「Gross」)や現年号(「平成」、「HEISEI」)などです。

 

誰もが普通に使う言葉は識別力がないとも言えますが、うまく登録になれば覚えやすい・記憶に止まりやすい”強い商標”となります。
“強い商標権”の権利取得には一定の経験や専門知識が必要とされますので、ぜひ商標の専門家にお任せください。弊所弁理士は商標出願・商標登録・権利化に関して、個別の事情をきちんと踏まえたアドバイスを心がけております。相談は無料ですので、東京都内はもちろん、遠方のお客様もお気軽にご連絡ください。

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