※最新J-PlatPat検索ランキング 外堀知的財産事務所 メールマガジン 2026年1月号

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━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━━

                        2026年1月号

 

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┃ ◎本号のコンテンツ

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┃ ☆知財講座☆

┃(24)実用新案登録に基づく特許出願(2)

┃    ~実用新案登録に基づいて特許出願する際の注意点

┃ ☆ニューストピックス☆

┃ ■2025年J-PlatPatの検索ランキングを発表(INPIT)

┃ ■特許権の権利行使の課題など調査(特許庁)

┃ ■米ディズニー、動画生成でオープンAIと提携

┃ ■「職場のロリエ」が日本ネーミング大賞

┃ ■カシオの「発明記念館」が国の登録有形文化財に

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新年明けましておめでとうございます。

本年も皆様のお力になれますよう、知財サービスのより一層の向上を目指す所存です。

本年もお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃

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(24)実用新案登録に基づく特許出願(2)

~実用新案登録に基づいて特許出願する際の注意点

 

【質問】

特許ではなく実用新案登録で十分と考えて実用新案登録を受けたのですが、「実用新案権では権利行使が難しい」といわれました。

この実用新案登録を特許に変更できないでしょうか?

 

【回答】

実用新案登録出願の状態から特許出願へ変更することは従来から認められています。現状では、実用新案登録に基づいて特許出願を行うことが可能になっています。

前回は、実用新案登録に基づく特許出願を検討するようになる事情がなぜ発生するのか説明しました。今回は、実用新案登録に基づいて特許出願を行う際の注意点を説明します。

 

<実用新案登録に基づく特許出願の出願時は遡及する>

登録になる前の実用新案登録出願の状態から特許出願へ変更しますと、変更後の特許出願は実用新案登録出願の出願時にいたものとみなされる遡及効が発揮されます。

これと同様に、実用新案登録に基づく特許出願も、その実用新案登録に係る実用新案登録出願時に行われていたものとみなされることになります。

この出願時遡及の効果は、実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲、図面に記載した事項に対して与えられます。

なお、実用新案登録になった後に実用新案登録の訂正があった後は、訂正後の明細書、実用新案登録請求の範囲、図面が実用新案登録の願書に最初に添付した明細書等になります。そこで、実用新案登録になった後に実用新案登録の訂正を行い、その後に、実用新案登録に基づく特許出願を行う場合には、訂正後の明細書、実用新案登録請求の範囲、図面に記載した事項に対して出願時遡及の効果が与えられます。

実用新案登録出願における明細書等の補正及び、実用新案登録における訂正では新規事項の追加が禁止されています。そこで、不適法な補正又は訂正がされない限り、実用新案登録の願書に添付した明細書等に記載した事項は、実用新案登録に係る実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内となり、出願時遡及の効果が認められます。

なお、もしも、不適法な補正又は訂正が行われたことで実用新案登録の願書に添付した明細書等に記載した事項が実用新案登録に係る実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲外である場合は、出願時が遡及しません。そこで、このような場合、実用新案登録に基づく特許出願について審査請求して特許庁の審査を受けると、基礎とした実用新案登録の実用新案掲載公報の記載内容に基づいて、新規性・進歩性が欠如しているという理由で拒絶されることになると思われます。実用新案登録出願は出願から2カ月程度で登録になり、その後2週間程度で実用新案掲載公報が発行されることから、実用新案登録に基づく特許出願が行われるときには、既に、実用新案掲載公報が発行されているのが一般的だからです。

 

<特許出願の基となる実用新案権は放棄しなければならない>

自己の実用新案登録に基づいて特許出願を行う場合、実用新案登録に基づく特許出願と、基礎とした実用新案権の放棄(登録の抹消)とを一体的に行う必要があります。

実用新案登録に基づく特許出願と、基礎とした実用新案権とが併存することを許す場合の第三者の監視負担及び二重の審査(同一の技術について特許審査及び実用新案技術評価書の作成)による特許審査の遅延に配慮したものです。

なお、この場合の実用新案権の放棄(登録の抹消)は、実用新案登録請求の範囲に記載されている請求項ごとに行うことはできず、実用新案権の全体を放棄することになります。

一つの実用新案登録からは一つの実用新案登録に基づく特許出願のみを行うことができ、一つの実用新案登録から実用新案登録に基づく複数の特許出願を行うことはできません。一つの実用新案登録に単一性の要件を満たさない複数の発明が記載されている等の理由により、一つの実用新案登録から実用新案登録に基づく複数の特許出願を実質的に行いたい場合は、一つの実用新案登録に基づく特許出願を行った後に、特許法第44条の規定に基づいてその特許出願を分割する必要があります。

 

<実用新案登録出願から3年以内のみ行うことができる>

特許出願では出願日から3年以内に限って出願審査請求を行うことができるとされていて、この期間内に出願審査請求されなかった特許出願は出願日から3年経過した時点で取り下げたものと見なされることになっています。

そこで、時期的制限なしに何時でも実用新案登録に基づく特許出願を行うことができるとすると、実用新案登録に基づく特許出願には、上述したように、出願時遡及の効果が認められていることから、審査請求期間の実質的な延長を認めてしまうことになります。

このため、実用新案登録に基づく特許出願は、実用新案登録出願の日から3年以内に限って行えることになっています。

なお、特許出願では出願審査請求を行わなければ、出願日から3年経過した時点で特許出願は取り下げたものとみなされ、消滅します。実用新案登録に基づく特許出願を行った場合も、実用新案登録に係る実用新案登録出願の日(=実用新案登録に基づく特許出願の日)から3年以内に出願審査請求を行う必要があります。

 

<実用新案技術評価の請求が行われた場合の時期的制限>

実用新案は、新規性、進歩性等の実体的要件についての特許庁審査官による審査を受けることなしに登録になります。このため、登録になっている実用新案が実体的要件を満たしているか否かは、原則として、当事者間の判断に委ねられます。

しかし、権利の有効性を巡る判断には、技術性、専門性が要求され、当事者間の判断が困難な場合も想定されます。そこで、当事者間に権利の有効性に関する客観的な判断材料を提示するという観点から、実用新案登録出願が行われた後は、実用新案登録出願人実用新案権者だけでなく、第三者も、特許庁に対して、いつでも、実用新案技術評価の請求を行うことができます。

実用新案技術評価は、文献等公知(実用新案法第3条1項3号)、公知文献から見た進歩性(同法第3条2項)、拡大先願(同法第3条の2)、先願(同法第7条)の要件、すなわち先行技術文献及びその先行技術文献からみた考案の有効性などに関する評価を特許庁審査官が行うものです。

この意味で、実用新案技術評価の請求に基づく実用新案技術評価書の作成は、特許出願において審査請求があった後に行われる審査と同等です。そこで、実用新案技術評価書が作成された後に実用新案登録に基づく特許出願を行うことができるとすると、同一の技術について、実用新案技術評価書の作成と、特許審査という二重の審査が行われることになってしまいます。

このため、実用新案技術評価の請求が行われた場合の時期的制限が設けられています。なお、実用新案技術評価の請求は何人も行うことができるため、出願人又は実用新案権者が評価請求を行った場合と、他人(第三者)が評価請求を行った場合とに分けて時期的制限が設けられています。

 

<出願人、権利者による評価請求後:実用新案登録に基づく特許出願は不可>

出願人又は実用新案権者による実用新案技術評価請求の後は、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願をすることができません。同一の技術について、実用新案技術評価書の作成と、特許審査という二重の審査が行われることを防止するためです。

なお、実用新案技術評価の請求は、実用新案登録請求の範囲に記載されている請求項ごとに行うことができます。そこで、一部の請求項についてのみ評価請求されることや、すべての請求項について評価請求されることが考えられますが、どちらの場合であっても、出願人又は実用新案権者による評価請求の後は、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願をすることができません。

 

<他人からの評価請求後:特許庁から最初の通知を受領した日から30日以内>

他人による実用新案技術評価請求があった場合には、実用新案登録出願人(実用新案登録後は実用新案権者)に対して、その旨が特許庁から通知されます。他人による評価請求があった旨の最初の通知を受け取った日から30日を経過するまでは、その評価請求された実用新案登録に基づく特許出願を行うことができます。

他人による評価請求は、出願人又は権利者自身で評価請求したものではないため、評価請求後直ちに実用新案登録に基づく特許出願をすることができなくなることは、出願人又は権利者にとって酷であることからこのようにされています。

なお、他人からの実用新案技術評価の請求が一部の請求項についてのみ行われている場合、すべての請求項について行われている場合のいずれであってもこの取り扱いは同じです。

 

<実用新案登録無効審判請求を受けた場合の時期的制限>

実用新案登録に対して無効審判の請求があり、請求を受けた実用新案権の有効性の判断が可能なところまで審理が進んだ段階で、同一の技術について新たな特許出願が行われると、審理を進めてきた請求人の負担が無に帰す可能性があります。

また、審理が進んだ段階で実用新案登録に基づく特許出願が行われ、その特許権が設定された場合に、当該特許権について無効審判請求がなされると、同一の技術について、審理が二重に行われることになります。

そこで、実用新案登録に対する無効審判請求があった場合、最初に指定された答弁書提出可能期間経過後は、その実用新案登録に基づく特許出願を行うことができないことになっています。「最初に指定された」とは、複数の無効審判請求それぞれの最初の指定という意味ではなく、複数の無効審判のすべてを通じて最初の指定であることを意味しています。

なお、実用新案登録無効審判の請求は、実用新案登録請求の範囲に記載されている請求項ごとに行うことができます。そこで、一部の請求項についてのみ無効審判請求されることや、すべての請求項について無効審判されることが考えられますが、どちらの場合であっても、最初に指定された答弁書提出可能期間経過後は、その実用新案登録に基づく特許出願を行うことはできません。

 

<出願形式については弁理士によく相談してください>

2回に分けて説明してきたように、実用新案登録になってからでも実用新案登録に基づく特許出願を行うことが可能ですが、新しく開発した技術について、特許出願あるいは実用新案登録出願を行う前に、どちらの形式で保護を受けようとすることが望ましいのか専門家である弁理士によくご相談されることをお勧めします。

 

■ニューストピックス■

 

  • 2025年J-PlatPatの検索ランキングを発表(INPIT)

INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)は、令和7年 (令和7年1月~11月) の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)における特許・意匠・商標文献へのアクセス状況を発表しました。

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000099837.html

 

J-PlatPat における特許文献等へのアクセス数は、当該特許文献等に記載されている技術自体やビジネス上の注目度等、社会的な関心を示唆する一つの指標と言えます。

特許(実用新案)、意匠、商標の検索ランキング1位は下記のとおりです。

 

<特許(実用新案)>

1位はコクヨ株式会社の「消しゴム」(特許4304926)。この特許をもとに商品化されたカドケシ®は商品名の「カドケシ®」で商標権と、商品の構造で特許を取得、10個のキューブをつなげたカドが28個あるデザインで意匠登録されています。昨年も2位にランクインしており、非常に高い関心を得ていることがわかります。

 

<意匠>

1位は株式会社batonの「早押し解答機」(意匠登録1779915)。

これは特許庁と、株式会社batonが運営する「QuizKnock」のコラボ動画企画で生まれたもので、学校の教室で授業で使うために考案されたそうです。コラボ動画では、現役審査官に登録の可能性を指摘され、実際に2024年の9月に登録になっています。

 

<商標>

1位はキッコーマン株式会社の「」の字のロゴマーク(登録

0050131/46)。元のロゴマークは明治から続く商標で現在も登録

が維持されています。

※今回のランキング1位のマークは、防護標章です。

 

  • 特許権侵害による権利行使の課題など調査(特許庁)

特許庁は、国内企業が有する特許権に対する侵害の実態調査等を実施していますが、このほど、特許制度小委員会に実態調査の途中経過を報告しました。

 

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/tokkyo_shoi/document/55-shiryou/01.pdf

 

それによると、自社の特許権を侵害された又は侵害された可能性があると感じた経験がある企業は、63.4%でした。

企業規模では、大企業・大企業以外で比較すると、大企業で「経験がある」と回答した割合が72.7%、大企業以外で「経験がある」と回答した割合が48.3%でした。

 

また、権利侵害を認識した場合に権利行使ができるか否かについては、「原則として対抗手段をとらない」者は2.2%に留まりますが、「場合によっては対抗手段をとる」者は66.6%となっています。

このうち、権利行使ができない主な理由としては、①コストに比して損害賠償額が少ないと見込まれること、②侵害の確証に疑義があること、③権利行使のためのリソース不足、④取引関係に影響が見込まれることが挙げられています。

 

特許庁は、権利行使をして回復される利益に比べて、権利行使をすることに伴うハードル(コスト負担、立証負担や取引関係への影響)により、侵害に対する権利行使を躊躇する実態がうかがわれるとしています。

 

 

  • 米ディズニー、動画生成でオープンAIと提携

米ウォルト・ディズニーは、人工知能(AI)を展開する「オープンAI」と資本提携し、動画生成AI「Sora(ソラ)」でキャラクターを自由に使えるようにすると発表しました。

 

https://openai.com/index/disney-sora-agreement/

 

発表によると、ディズニーはオープンAIに10億ドル(約1550億円)を出資。3年間のライセンス契約により、オープンAIの動画生成AI「Sora(ソラ)」で、ユーザーはミッキーマウスなど、200以上のキャラクターを文章による指示で簡単に生成できるようになります。

また、ユーザーが生成した動画の一部は、動画配信サービス「ディズニー・プラス」でのストリーミング配信もできるようになります。

 

ディズニーは、これまで「ソラ」に対し、使用不許可の姿勢をとってきましたが、技術進化を見据え、AIから対価を得る新たなビジネスモデルへと戦略を転換しました。

オープンAI側はキャラクターを利用する権利に対し補償金を支払うとしています。ディズニー側にはAI時代に対応した収益源を確保する狙いもあるとみられます。

 

 

  • 「職場のロリエ」が日本ネーミング大賞

一般社団法人日本ネーミング協会主催の「日本ネーミング大賞2025」で、花王株式会社の「職場のロリエ」が大賞を受賞しました。

 

https://j-naming-award.jp/

 

「職場のロリエ」は、トイレットペーパーのように職場のトイレに生理用品を備品として設置することを推進するプロジェクトの名称。職場で使いやすいことをイメージさせるネーミングが高く評価されました。

同社では、「ネーミング開発に至っては、オフィス勤務の人だけでなく、工場、保育所、病院、学校など、働く人がいるすべての職場のトイレに当たり前に生理用品が備品化される世の中になってほしい、という思いを込めて『職場』というワードにこだわりました」とコメントしています。

 

優秀賞には、大関株式会社の 「One CUP」、アキレス株式会社の 「瞬足」、西日本旅客鉄道株式会社の 「ICOCA」、株式会社ほっかほっか亭総本部・株式会社ハークスレイの「ほっかほっか亭」などが選ばれました。

また、長く文化に貢献した名称を称えるレジェンド賞として、「アイスノン」「シヤチハタ」「養命酒」 の3つが受賞しました。

 

 

  • カシオの「発明記念館」が国の登録有形文化財に

文化庁の文化審議会は、カシオ計算機株式会社の創業者の一人で、発明家の樫尾俊雄氏の旧私邸「樫尾俊雄発明記念館」などを登録有形文化財に登録するよう答申しました。正式登録後、国の登録有形文化財となります。

 

https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94294701_01.pdf

 

樫尾俊雄氏は、カシオ計算機の基幹事業となった計算機や電卓、時計、電子楽器を開発した発明家。

発明記念館は、日本のエレクトロニクス産業の発展に貢献した発明家・樫尾俊雄氏の功績を後世に伝えるために設立。世界初の小型純電気式計算機「14-A」や科学技術用計算機「AL-1」のほか、樫尾氏の後を継いだエンジニアたちが生み出した「カシオミニ」などの画期的製品も展示しています。

 

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発行元: 外堀知的財産事務所

弁理士・一級知的財産管理技能士 前田 健一

〒102-0085 東京都千代田区六番町15番地2 鳳翔ビル3階

TEL:03-6265-6044

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