シャネル、ヴィトン、グッチ・・・高級ブランドを作るためには!!

■ブランドと商標

「ブランド」を広辞苑(第6版)で引くと「(焼印の意)商標、銘柄、特に、名の通った銘柄「-商品」」とあります。

であれば、「商標」=「BRAND」ということになります。

果たしてこの関係式は正しいのでしょうか。

 

■商標に業務上の信用が化体したものこそブランド

商標法の保護対象は「商標」ですが、実際の保護対象は「商標に化体した業務上の信用」と言われています。商標登録は実際に使用している商標や近い将来使用する商標に対して与えられるので、つい最近販売を始めた商品やまだ行っていないサービスであっても商標登録をすることができます。ですが、そのような状態では「商標」=「ブランド」の式は成り立たないと考えます。その段階での「商標」は他人との商品・サービスを区別するだけの機能しか持ち合わせていないからです。

 

ブランドの語源は「Burned」(焼印を押された)と言われており、他の酪農家の家畜とを見分けるために押されていた焼印を指していました。まだ使用して日が経っていない商品や使用意思はあるがまだ提供していないサービスにつけた商標はこの焼印と同じです。ただ単に区別するだけの機能ということです。

 

さきほど、実際の保護対象は「商標に化体した業務上の信用」といいましたが、商標を一定期間以上、商品・役務に使用しているとその商標に信用が加わります。「あの商標の付いた商品はおいしい」、「あの商標の付いたサービスは安心できる」などです。よって、商標法は「商標」を保護すると謳っていますが、実際の保護対象は「信用が加わった商標」ということが言えるのです。

 

産業財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権とありますが、唯一、商標権だけが存続期間満了後も更新が認められるのは、商標は長く使用すればするほど信用が付きその信用を保護することが産業の発展、需要者の保護になるからです。

とすると、広辞苑のいうところの「ブランド」=「名の通った銘柄」の関係式が正しいと言えそうです。

 

■名の通った銘柄になるための4要素

名の通った銘柄、つまり強いブランドになるための要素として

  • オリジナリティ
  • ブランド・アイディア
  • インターナルの信頼
  • 継続性

が必要といわれています。

 

まずは①オリジナリティについてですが、強いブランドになるためには「オンリーワン性」が重要です。他がもっていないものを持っていること、つまり代替不可能なものをもっていることが強いブランドの要件の1つとなります。

 

そして②ブランド・アイディアがあること。ブランド・アイディアとは企業が顧客に対し約束することや企業理念などを短く表現したもので、タグラインと呼ばれています。企業のロゴの脇に表示されているもので、放送番組の提供で読まれるコピーとして聞いたことがあるのではないでしょうか。例えば

アサヒビールの「すべてはお客様の「うまい」のために。」

ツムラの「自然と健康を科学する」

ロッテの「お口の恋人」

などです。

 

世に出始めのシンボル(信用の化体していない商標)は抽象的でありますから、形のないイメージをしっかりとした形にしなければならず、このブランド・アイディアの存在が強いブランドになるためには欠かせないものといわれております。

 

次に③インターナルの信頼ですが、内部の人間の信頼も重要な要素です。ここでいう内部とは企業の従業員などを指すわけですが、従業員の強く引き付ける求心力が必要であり、従業員がブランドに誇りをもっていることが結果強いブランドになり得えます。内部の人間を魅了できないブランドが外部の人間、つまり顧客の心を動かし信用させることはできません。

 

最後に④継続性ですが、強いブランドになるためには一定の期間が必要です。ただ時間をかければよいというものではなく、その一定の期間中も常にブランドを磨き、ブランドの存在感を維持管理する必要があります。信用を重ねていく継続性こそが強いブランドになるための絶対条件と言えます。

 

■ブランド化した商標

ブランドとは企業の約束と顧客の期待で結ばれた絆です。高級ブランドと呼ばれるものは、「長い間使える品質」などを約束し、顧客からの期待である「時を経ても目減りしない価値」「ひとクラス上の高級感」に応えています。

プレミアムブランドになれば価格競争から脱し、また、他商品の展開時でも少ない広告費で最大限の効果を得られるというメリットがありますので、どの企業も自社商品・サービスのブランド化を目指すわけです。