普段何気なく使われる言葉は実は登録商標!?
■指定商品・指定役務の記載
どの商品・サービスで権利化をするか、商標出願をする際願書に記載しなければなりません。
指定商品に「すべての商品」と記載したり、指定商品に「機械器具」と記載したりすると商品の範囲が不明確として拒絶理由になり、指定役務に「総合レンタル業」と記載しても具体的に何をレンタルするサービスなのか不明確なので拒絶理由となります。
■それでは商品名を記載すればいい!?
では具体的に商品名を記載すれば指定商品が不明確とはならないのでしょうか。例えばアパレルメーカーが自社ブランドの商標登録をすべく、
指定商品「カーディガン,セーター,トレーナー」
と指定した場合を考えてみます。この場合、審査官から拒絶理由通知を受けてしまいます。
「トレーナー」はユニチカ株式会社の登録商標(登録第819302号)。指定商品は「被服」。
登録を受けようとする指定商品又は指定役務に他社の登録商標を記載することはできません。
一般的に使用される名称が実は登録商標だったりする場合がありますので注意が必要となります。
■これもあれも登録商標!?
商標「ウォシュレット」 登録第4079967号 TOTO株式会社
指定商品は「洗浄機能付き便座」他
商品「エレクトーン」 登録第529966号 ヤマハ株式会社
指定商品は「楽器」他
商標「ジェットスキー」 登録第2075660号 川崎重工業株式会社
指定商品は「船舶並びにその部品及び附属品」他
商標「セロテープ」 登録第546229号 ニチバン株式会社
指定商品は「セロハン粘着テープ」他
役務「宅急便」 登録第3023793号 ヤマトホールディングス株式会社
指定役務は「貨物車による輸送」他
商標「タッパー」 登録第4132716号 ダート インダストリーズ インコーポレイテッド
指定商品は「プラスチックス製食料保存容器」他
商標「タバスコ」 登録第2719020号 マッキルヘニ―・カンパニ―
指定商品は「香辛料」他
商品「ポリバケツ」 登録第580318号 積水テクノ成型株式会社
指定商品は「硬質プラスチック製バケツ」
商標「マジックテープ」 登録第1501016号 株式会社クラレ
指定商品は「面ファスナー」
商標「ムース」 登録第1315853号 株式会社資生堂
指定商品は「化粧品」他
■もっとも避けたいのは普通名称化!?
ブランド力は購買力に直結しているから、自社の商品のブランド力が上がることは企業にとっては喜ばしことです。
しかしながら、誰もが普通に使う一般名称のようになってしまうことは企業にとってダメージが大きく、広告・資本を投入した商標が一般名称化してしまうと識別力がなくなり第三者がその商標を使ってその商品を販売しても文句が言えない状況になります。企業はその商標の近くに「商標登録番号」や「この商標は○○社の登録商標です」などの文字を付し、また、®を付けて商標の普通名称化を防いでいます。