■不使用取消審判とは。

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不使用取消審判とは、読んで字のごとく、不使用(の商標)を取り消すための審判です。不使用取消審判は他の審判と比べて請求される件数が多い審判という特徴があります。

商標権を得るにはまず、商標登録出願をしなければなりません。無事に登録査定となれば登録料納付後、商標権を得られます。一度取得した商標権は、10年毎に更新し続けられます。

一方、登録商標ではあるが、現在使われていない(不使用)の登録商標も多く存在します。不使用である登録商標であっても更新可能です。何の信用も加わっていない商標が半永久的に存在し続けることになりますが、これでは商標の使用する者の業務上の信用の維持を図るという法目的から外れてしまいます。

商標は先願主義を採択しますので、現実に使用しているか否かは関係なく、他人より1日でも早く出願した者が登録となる権利を得ます。早い者勝ちとはいえ、いつまでも不使用の登録商標の存在は、真にその商標を使いたい人にとっては邪魔以外のなにものでもありません。

そこで本当に使用されていない商標である立証されればその登録商標を取り消す審判制度が用意されました。これが不使用取消審判です。

■取消対象になってしまう登録商標とは。

不使用取消審判の制度は不使用の商標を何でも取り消すというものではありません。ひと月前に商標登録になったが、登録後まだその商標を使っていないということで審判を請求されては、商標権者には酷です。

不使用取消審判の対象として請求できる商標は「3年以上」使用されていない登録商標です。当時準備中で商標出願して登録になったとしても、さすがに3年も経てばその商標の使用を開始しているだろうということです。また、最初のうちは登録商標の使用をしていたものの、途中からその商標の使用を止め、ここ3年間継続してその登録商標を使用していない場合も不使用取消審判の対象です。その間に1度でも使用をしていれば取消にはなりません。

ここでは、記載しませんが、商標の使用の定義は商標法第2条第3項各号にあります。

■登録した指定商品すべてには使用していない場合は。

登録商標の範囲は、願書に記載した商標と指定商品・指定役務の関係で決まります。複数記載した指定商品・指定役務のうち、たった1つでも3年以上その商標に使用していないとその商標権全体が取り消されてしまうということでしょうか。

不使用取消審判の目的は使われていない商標の整理ですので、不使用の商品・役務のみが取消の対象です。
例えば、登録商標の指定商品が「化粧品、文房具類、被服」であり、自分がその商標を「被服」で使用したいと考えている場合は、「被服」のみを指定して不使用取消審判を請求する必要があります。
もし、「化粧品・文房具類・被服」の全部に不使用取消審判を請求して、実際に使用されていないものが「被服」だけである場合、商標権者がその商標を「化粧品」に使用していることの立証に成功すれば、審判請求は請求棄却審決となり、不使用であるはずの「被服」については取り消すことができなかったことになります。

不使用取消審判を請求する際は、取り消したい登録商標の中から、自分がその商標を使用する上で邪魔な存在であり、かつ、不使用である商品・役務に絞って請求する必要があります。

■登録商標とは少し違う形で使用しているの場合は。

商標を使用していく過程で若干の書体の変更など起こり得ます。その場合、登録商標の使用ではないので取消の対象になるのでしょうか。
ロゴは時代と共に変化しますし、多少の変更が生じる度に登録を求めていては商標権者は大変です。ですので、商標上は平仮名・片仮名・ローマ字にそれぞれ変更した形で使用している場合で読み方が変わらず意味合いも変わらない場合はその商標の使用とするとしています。
また、図形商標であっても同視できるくらいの変更ならば登録商標の使用とします。
社会通念上同一と認められる商標なら登録商標の使用となります。

■商標権者自身が使用していない場合は。

登録商標は商標権者だけが使うとは限りません。ライセンス契約をした場合は実際にその登録商標を使用するのはライセンシーです。ライセンサーである商標権者から正当にその登録商標の使用を許された者が使用している場合も不使用ではありませんので、不使用取消審判の対象にはなりません。

まったく関係のない第三者が勝手にその登録商標を使用していただけの場合は、正当な使用ではないので、不使用取消審判の対象になります。

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≫商標登録願の記載方法

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